∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

≡≡ 『啓蟄』の節季 ≡≡

冬ごもりの時期が明け
地上がうごめき始める頃

 二十四節気の『啓蟄』の節季がやってきた。土の中に隠れ閉じこもっていた蛇や虫たちが春の訪れに気付き、再び動き始める頃である。雪の下に隠れていたふきのとうや山菜類も地上に目を出し始めている。この時期は地上の営みが活発になってくるのと同様に、人々の動きも軽やかになる時期でもある。

 江戸時代にまとめられた『暦便覧』では「陽気地中にうごき、ちぢまる虫、穴をひらき出ればなり」と記されている。

 まさに春本番がそこまで来ている時期である。何故か気温が上がるに従って気持ちもウキウキしてくる。きっと、冬眠中だった蛇や虫たちもそんな気持ちでいるはずだ。
 青果店の店先にふきのとうや山菜の新芽が並び始る一方で、鮮魚店や鮨店にはサヨリや早採れのサワラ(鰆)が並ぶようになる。

 山野に育つ春野菜には独特の苦味があるが、この独特の風味を「冬を耐え忍んできたエネルギーの名残」と感じる人もいる。また、縁起を担いで「極寒の冬を食い尽くす」と捉える人もいるようだ。
 私のように、冬の時代から脱却する時期と捉える人もいるかもしれない。

 人それぞれに捉え方は違うが、要するに、冬に別れを告げて春の訪れを楽しみに待つ時期である。『啓蟄』の次の節季は『春分』。春本番へのカウントダウンは着実に進んでいる。
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[season13┃06 Mar. 2023┃12: JST
啓蟄』の節季‥寒から暖へ。再会の時。冬眠明け。山菜。
┃HANA-CHOUZU(Floating flower)┃Ueno toshogu, Botan-en 
Photographed on 28 Jan. 2022