∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

≡ 御影公会堂食堂 ≡≡

有形文化財で食する「神戸洋食」

 昨日、私は2ヵ月連続になる墓参りのために神戸に行っていた。正直に言って、毎月東京から神戸まで墓参りに行くというのはシンドイ。諸般の理由が重なったために行ったのだが、両親が亡くなって以来初めてである。

 そんな一日、私は先月に引き続いて「神戸洋食」の店に行ってみた。今回は『御影公会堂食堂』である。
 昭和初期にアールデコを彷彿とさせるデザインで建設されたが、戦時中の空襲で壊滅的な被害を受け、その後改修された公会堂に付属した食堂である。
 補足だが、この公会堂自体は映画『火垂るの墓』にも出てくる歴史的建造物でもある。

 私が頼んだのは、ビーフシチューと有頭海老のフライ2尾とサラダの盛り合わせセット。濃厚なコーンスープと食後の飲物もついていた。

 Aランチ(ビーフシチュー、有頭海老フライ2尾、コーンスープ、サラダ、ライス、コーヒー/紅茶    2,000円)。

 見た目の第一印象は「こんなに盛りだくさんでこの値段!?」。一口食べた後の印象は「王道のウマさ。出会って良かった!」である。
 濃厚なデミグラスソースをまとったビーフシチューは口の中でホロホロとほぐれていく。ほどよい酸味のタルタルソースとともに食する有頭海老のフライは、揚げ時を見極めたシェフのワザさえも感じられる絶妙な食感である。
 私が食べ終わったのに合わせてサーブされたコーヒーも驚くほど美味しかった。ありがちな“サービスコーヒー”とはまったくの別物。これだけでも充分に楽しめる。

 ちなみに、事前に「予約がないと30分や1時間待ってもらうこともある」と言われていたが、個人的な印象では、客の多さよりもシェフの仕事の丁寧さと、心地よい空間で最良の食事を提供しようというサービスポリシーのために生じた待ち時間と捉えたほうがよさそうだ。

 有形文化財指定された建造物で食べる「神戸洋食」は胃の腑を満たすだけでなく心まで満腹にしてくれた。東京と神戸と離れてはいるが、個人的なお気に入り店にさせてもらうことにする。
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[season13┃24 Apr. 2023┃12:00 JST
┃CHERRY BLOSSOM in YANAKA 7/9┃
shinobazu pond, ikenohata, ueno park, taito city.
Photographed on 31 Mar. 2021