∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

≡≡ 七夕と文月 ≡≡

心情は書き物にして伝えてこそ実現する

 和風月名で7月は文月(ふづき・ふみづき)という。旧暦で考えれば現在の8月に当たる。季節感でいえば日が暮れると涼しさを感じ始める頃である。
 そのためこの時期は、季節感を踏まえて「涼月」や「秋初月」と呼ばれていた。また、年中行事にちなんだ「七夕月」や「逢逢月」、稲穂が大きくなる時期という意を込めて「穂含月」とも呼ばれていた。

 一方、古来中国では7月7日は天帝の怒りをかって離れ離れにされた織姫と彦星が唯一出会うことを許された日とされ「七夕」と呼ばれていた。その日は秘めたる願いを短冊に書いて祭壇に供えていたが、そんな伝承が奈良時代に日本に伝わり、七夕(たなばた・しちせき)と呼ばれる五節句のひとつとして定着した。
 七夕に「願いを書いた短冊を笹にぶら下げて天の星に伝える」という風習は、ここから来ているともされている。

 その後、江戸時代には季節感を取り入れた日本独自の和風月名が一般的になり「涼月」や「穂含月」など以外に、七夕に短冊に願いを書き記すという故事にちなんだ「文月」という名称も使われるようになったとも伝えられている。
 ところが、時代が進んで明治時代に新暦が採用されると、これから真夏を迎える7月を「涼月」や「穂含月」と呼ぶのは違和感があったため「文月」という呼び名が一般的になったようだ。

 こんな歴史的な流れを大胆不敵かつ短絡的に捉えると、「文月」は「七夕」の故事にちなんで、天の神ではなくとも、誰かに秘めていた願いを伝える月と言えなくもない。
 誰かに秘めた想いを伝えるのは思った以上に勇気のいることだが、「文月」だから、「七夕」だからと思えば決心し易い。

 ひょっとすると「文月」は、誰かに秘めてきた願いを書き物して伝えたり、天の神に夢や希望を伝えて現実のものにする月なのかもしれない。
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[season13┃08 Jul. 2023┃11: JST
┃TOKYO BAY┃umi-shibaura,tsurumi ward, yokohama city.
Photographed on 04 May 2022