∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

≡≡ さあ、このツケどうやって収める? ≡≡

もはや科学の力だけでは収まらない。
イチから出直しを

 福島第一原発から出る処理水を巡って世界中が揺れている。当然だ。

 国と東電はこれまでの12年間、方法論と結果は伝えても、そこに至った過程と将来の予測に対して、現象面だけを拾い上げて、それ以外は曖昧な数値的な説明しかして来なかった。
 言葉を変えて、誰もが危惧している問題に「安全安心」というお題目だけで対処し、難解だが聞かなければ納得できない方法論の是非や数値に関しては-批判的な議論を呼ぶと考えたのかどうかは分からないが-伝えて来なかったと言ってもいいだろう。

 人間には、見えないものには脅威を感じて避けようとする本能が備わっている。そんな人間にとって原発事故ほどの未曾有の危機はなかったといってもいい。そんな危機を乗り切るためには通常の組織運営方法では効果がないと考えて当然だ。だが、国も東電も(原子力業界全体も)持てる権力と権威と知見で乗り切ろうとしてきた。
 企業運営でありがちな「不満があっても乗り切るしかテがない」という姿勢とはレベルが違いすぎるのは言うまでもない。
 これでは世界中の市民が「納得してもらえるまで説明する」というよりも「専門家の選択を承諾させよう」としていると感じて当然だ。

 唯一の被爆国である日本は放射性物質の恐ろしさを身をもって経験している。人間にとってどのような悪影響が出るのかも熟知している。
 また、事故以来常磐ものの海産物はサンプリングを続け放射性物質の有無を計測し続け、人体に影響はないと報告し続けてきた。
 そんな知見も含めて、処理された水の放射性物質の線量から始まって、海水を注入した時点での線量や放出した時の線量、そして海産物が取り込んでしまった放射性物質の数値とその半減期を細かく公表するのが信頼を取り戻す最初のステップではないだろうか。

 とにかく、「安心できる説明」を求めてきた市民に対して「突っ込まれない程度の説明」に終止してきた姿勢に問題があるのだ。
 国と東電はこのツケをどうやって収めるのだろう。身を切るような検証が必要なことに間違いはない。
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[season13┃25 Aug. 2023┃11:55 JST
┃TOKYO : YUSHIMA SEIDO┃
yushima, bunkyo city.
Photographed on 29 Oct. 2022