∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

〓〓 渡り鳥の定宿 〓〓

大都会の冬ならではの風物詩

 井の頭池・洗足池・不忍池葛西海浜公園東京港野鳥公園。東京にも北国からの渡り鳥が飛来する池や沼がいくつかありますが、そのなかで東京上野の不忍池はほかとは違う趣きのある飛来地といってもいい場所と言われています。

 不忍池は、池の中道で池が三等分され、中央に鎮座する寛永寺の辯天堂の周囲に、ボート乗り場(1/3)と蓮の群生地(2/3)が隣り合っています。ちなみに、池の周囲は桜の名所として知られている場所です。
 そのなかで蓮の群生地は秋になっても、北国からやってくる渡り鳥たちの住み家にするために枯れた蓮の葉は刈り取らずそのままにしてあります。渡り鳥たちがその枯れ葉の宿で子供を産み育てて春までのんびりと過ごすのです。

 ちなみに、ボート乗り場になっているエリアは、お隣の上野動物園のオープンゲージで飼われているイサギなどの鳥たちとカモやガンなどの成鳥、東京湾から日中の休憩に来るユリカモメが仲良く羽を休めています。

 蓮の群生地になっているエリアは冬になると茶色く覆わます。一見すると、公園整備に問題ありとも言えそうな景色です。でも、この茶色一色が大切なんです。池の周囲に桜が咲き始める直前までこの場所はカモやガンの場所に一変します。真夏に咲き誇っていた蓮が渡り鳥たちだけに用意された “枯れ葉で設えられた上質の宿” に変わるわけです。

 毎年、3月の声を聞くようになると、池は鳥たちの動静と桜の開花を見定めて徐々に整備され、桜の名所らしい景色に化粧直しされます。
 大都会のど真ん中で渡り鳥と共生する。ありがちな “傲慢な都市計画” は不忍池にはありません。
≡≡≡≡[season14]11:40/Nov.22/2023 -少雪-≡≡≡≡
GATEWAY to WINTER┃
Shinobazu-no-ike, Taito city.
Photographed on Dec.07/2020