∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

〓〓 老木は今 〓〓

逝くものが残す記憶と新たに授かる命

 今多くの場所で、樹木医が診断したうえで、朽ちて内部が空洞になったものや害虫に蝕まれ、再起が難しいものなどを対象にしてソメイヨシノの老木が伐採されている。
 ソメイヨシノでなくとも、都市再開発という名目のもと、人間の身勝手な思いだけで伐採されてしまうケースも相次いでいる。

 この樹の下で、あの樹の場所を目指して。これまで数十年も目を楽しませてくれた樹木は、人の記憶そのものである場合が多い。それだけに、これからも春を代表するアイコンとして人々を楽しませてくれたのではという疑問や無念さや心残りを感じることも多い。

 生き物である限り、表舞台から姿を消すことは避けられない事実だが、自己の意志で身を引くのと、強制的に命脈を絶たれるのでは大きな違いがある。
 たとえ意思表示をしない樹木であっても、命ある一本一本の樹には木霊(こだま)が宿っていると私は信じている。病に倒れたり、樹勢わずかと診断されたものはともかくとして人間の身勝手さだけで生涯を閉じてしまう樹が抱くであろう無念さや木霊の叫びを人はどう受け止めるべきなんだろう。

 実は、ここ数日、このブログにアップしてきた桜の老木もこの冬伐採された。内部に空洞を発見され、いつ倒壊してもおかしくないと樹木医が診断したからだった。
 写真に写る桜花は昨年4月の姿。彼女が私を楽しませてくれたのは昨年が最後だったわけだ。

 彼女は逝った。しかし、彼女の美しさはこの写真の中に永遠に生きる。もちろん彼女の美しさを愛でてきた人々の心にも記憶される。

……彼女は現世を去ることによって永遠の命を得た。

≡≡[season14]24:50/Mar.24.2024 -春分-≡≡
┃THIS is the JAPANESE SPRING┃
-Cherry blossom 1/3-
Mt.nagamine, Kobe city.
Photographed on Mar.28.2023