∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

紺色ってどんな色

世界各国のメンズウェアの中で最もベーシックで幅広く使われている「紺色」。レディスウェアや女子高生の制服にも多く使われていることはご存知のとおりである。
しかしこの色、国民性や発祥の違いによって、イギリス、フランス、イタリア、アメリカ、日本それぞれで少しずつ色が違うのだ。ちなみに日本で紺色は「ネイビー」とも言われるが、この言葉も限りなく和製英語に近いものだ。
仮にアメリカのネイビーを基本にした場合、見た目の感覚でざっくりと区別すると、イギリスの紺色は黒っぽい。フランスは赤みがかかっている。イタリアでは緑色が強い。そして日本の紺色は青い。この違いは、着こなしの印象を決定的に変えてしまうほど大きい。と同時に着こなしの醍醐味も隠されている。たとえば、フレンチ・コーディネイトにしたいならフランス人好みの赤みがかった紺色を使いながら決めていけばいいわけだ。
簡単に各国紺色事情をまとめてみよう。
イギリスの紺色はロイヤルブルーと言い、英国王室のオフィシャルカラーでもあり、ロイヤルネイビーと言われる英国海軍の制服の色でもある。つまり、イギリスは世界で一番紺色を重要視している国といってもいいだろう。そんなところからグッと重みのある色合いになったのではないだろうか。
その流れが色濃く残っているのがアメリカ。ネイビーブルーと呼ばれるのをみても分かるように海軍の制服の色である。たとえば、ピーコートの色がそれである。ちなみに、セイラー服のセイラーが水夫という言葉を語源にしているのも有名な話である。
それに対して、フランスやイタリアの紺色はファッションカラーのひとつとして愛されてきた。それだけに印象やコーディネイトのし易さを考慮に入れて色が決まってきたのだろう。
そして日本。古くから藍色という「浅めの紺色」が広く使われてきただけに、どの国から影響を受けたにせよ青さが強くなったのだろう。黒くもなく、ほかの色と重なることもない。余談だが、英語でインディゴ(indigo)と呼ばれる藍色も実際には違う色である。大島紬の藍色や藍染めの祭り半纏とノーウオッシュのジーンズの色が違うことを見ても一目瞭然である。
というように、色に限らず「共通言語」のように思っている事象にもお国柄があり、違いがあるわけだ。特に古典的なアナログ・ワールドでは、簡単に言葉だけで伝えた気持ちになっていると大変な違いがあったなんて事にもなりかねない。これもまた一興と思えば気楽だが、そうはいかない。なにしろ国民性までもが問題になってしまうことだってあり得るのだから。
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