∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

先端の技術

阪神淡路大震災の直後、僕は何度も東京・神戸間を往復した。新幹線で東京を出発して新大阪まで行く。そこからはその日までに開通した駅まで各駅停車で。そして代替バスに乗り換えて三宮へ。あとは2〜3時間歩けば実家だ。
◇そんな時、行くたびに感じたのが「携帯電話」の普及だった。バスを待っている時、携帯電話を掛けている人がどんどんと増えていくのだった。そんなに観察しているわけではない。普通に待っているだけなのに、それでもすごく目立つのだ。
固定電話はまだ完全には復旧していなかった。目的地到着までの時間も読めなかった。治安だって決して良好とは言えなかった。そんな地震直後の話である。
普及率も低く、料金的にも高かった携帯電話が、少なくとも阪神間で、爆発的に普及したのはあの地震がきっかけだったと勝手に解釈している。
それが今や、ケータイは第一の通信手段になった。そしてスマートフォンがケータイの存在を追い越していくのに時間は掛からないだろう。
地震激甚災害で爆発的に普及する先端技術がある。
今回の津波地震で普及したのはツイッターだろう。こんなにコミュニケーションの範囲を広げたツールが現れるなんて誰が想像しただろうか。情報の真偽さえきちんと判断出来れば、最速最大の情報蒐集や一般市民でもあるオーディエンスの意思統一まで可能になった。つまり誰かをフォローしたり、リツイートしたり、ハッシュタグを活用したり。情報伝播とか意思統一という古典的な言葉では絶対に表現できない世界があっという間に出来上がった。
それに対して従来は先端技術の粋を集めたものとされてきた原子力テクノロジーが、いかに自然に対して脆弱なものであることが分かった。同時に矛盾や政治的な意図で発展してきたテクノロジーだったかということも浮かび上がってきた。いわば「隠れ白い巨塔」である。
◇そしてこれから。これまで享受してきた大量消費経済が電力と石油にいかに頼ってきたか、そして、それが生きること自体を脅かす恐れのある「諸刃の剣」であることを身をもって理解した。
これまで以上に低電力で使えるケータイやスマートフォンの開発。これまで以上に長持ちするバッテリーの開発。低電力仕様のLED照明の普及。現在普及中のものを挙げるだけでも先端技術を利用したものは数多い。
◇今回の津波地震で、自然と共存しながら生きていく時代にマッチした先端技術の開発がいかに重要かつ最優先されるべきなのかということが図らずも浮かび上がってきたように思っている。
と同時に、それを開発する立場にある人たちが従来の固定化された立ち位置や視線で開発を続けると「諸刃の剣」を創り出す危険性を秘めている、ということもよく分かった。
◇これからの先端技術開発は「自然との共生」「的確で迅速な情報開示」「人のつながり」などを根底に置くことが必要不可欠な要素になることを誰もが自らに誓う時代がやってきたようだ。
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