∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

ボタンダウン日和〜失ってはならないもの

◇◇春全開。今日はポカポカと温かくて、陽射しもキラキラ。実に気持ちいい日だった。屋内に数時間いたので、残念ながら、満喫とまではいかなかったけれど、それでも充分に春を満喫した。
◇◇もし、こんな日が休日だったら僕はきっとボタンダウンシャツを着るはずだ。生地は少し厚めのブルーのオックスフォード地。
 と、言って気がついた。今はハイカラーで、ボタンホールとボタン糸が濃い色になっているシャツがたくさん出ている。この場合、生地はサラッとしたブロード地や地紋の入ったドビークロスがほとんどだ。
◇僕が着たいのはこれではない。あくまでもトラディショナルなもの。
 生地は経糸(たていと)、緯糸(よこいと)ともに2本遣いで打ち込み(織り目)がしっかりと詰まったオックスフォード地。以前は60番手というざっくりした風合いのものが好みだったが、近頃では細めの糸を使った80〜100番手のものがしっくりとくるようになった。
 ボタンは白いシェルボタンをイメージしたプラスチック製で充分。ただし、糸は白に限る。もちろん、ボタンホールも同様だ。
 衿は、自然なロールが出来る7〜8センチ程度がいい。7〜8ミリのところにステッチが欲しい。ハイカラーやショートカラーにはご遠慮願いたい。
 ボディと袖ぐりは、あくまでもゆったり目であってほしい。身頃(丈)も長いものがいい。ちなみに、背中のセンターにはボックス・プリーツが必要。使わないけれど、ポケットは大きめなのがいい。
 ひと言で言うと、1950年代以降のアメリカで爆発的に着られるようになったタイプ。いわゆるアイビーリーガー御用達というもの。日本では60年代にはアイビー、70年代後半にはプレッピー・スタイルという名前で爆発的に流行した。
 つまり、僕は「古いタイプ」なのだ。それでいい。変えられないし、変える気もないのだから。
◇このシャツにブルージーンズを合わせる。靴はモカシンがいい。「古典だが、いつも新鮮」という雰囲気100%の着こなしである。
◇◇今、日本はライフ・スタイルを変えざるを得ないくらいの「節目の時」を迎えている。でも、日本ならではの伝統や、個人の趣味や好みまで変える必要はない。
 昭和30年代に「洋装」でなければいけないということで「きもの」文化を捨ててしまった日本は、素晴らしい伝統と文化を切り捨ててしまった。そして切り捨ててしまったものをもう一度見直そうとした時には、世界に誇れる素晴らしい文化が、もう二度と返ってこないことに気がついた。
 同じことを繰り返さないようにしよう。
◇変えるべきものは前向きな思考の中で変えていこう。しかし、ほとんどの「失ってはならないもの」まで捨てないように。
 そこにあるのが当たり前と思いがちな「築き上げてきた文化」ほど大切なものはない。美しいものは美しい。素晴らしいものは素晴らしい。物事を真正面から見つめれば、変えるべきもの、捨ててはいけないものの判断はつくはず。ドラスティックな変化はすべてのものに歪みを与えてしまう。
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