∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

エルピーダ・メモリー

会社更生法


 一時は「産業のコメ」とまで言われた半導体を作る唯一の国産メーカー『エルピーダ・メモリー』が会社更生法の適応の申請手続きに入るというニュースが飛び込んできました。
 とうとう破綻したか、というのが最初の印象。この企業は日本の独壇場とまで言われていた半導体製造がアメリカや韓国のメーカーに取って替わったにも関わらず、日本の産業を守れの大号令で設立されたはず。しかし、天文学的な金額の資金が必要にも関わらず、当初から資金不足に悩んでいたというのは時折ニュースになっていました。しかも担当官僚のインサイダー取引まで引き起こして。政府の支援が入った後も、半導体価格の急激な低下や円高など悪材料が降りかかってきたということですが、僕に言わせると、本当に資金さえあれば事業継続が出来たのかどうか疑問ということになります。
 そもそも、このエルピーダ・メモリー、未来を担う国策産業として誕生した企業ですが、その「国策」そのものが「箱もの行政」に近かったのではないでしょうか。経営陣は可能な限りの努力をなさったと確信していますが、それでも国が「箱」にこだわり過ぎ、世界の産業構造の変化を的確に把握していなかったために、経営方針に変革に手をつけられなかったのではないかと思うのです。
 国策だからと台湾やアメリカの企業との提携を断ったり、監督省庁の担当者が株のインサイダー取引で立件されたりしてきたメーカーです。いくらNECや日立が協力を申し入れても「国のおもちゃ」にされた企業を立て直すことは極めて難しかったのではないでしょうか。


 優れたコンピュータ製造技術を確立したものの、それ以降の技術開発に手間取り、結果的に台湾や韓国、アメリカの製造メーカー製のパーツを活用するビジネスモデルで生き残ってきた日本です。ほかの国とは意気込みが違っていたはず。それでも「昔の夢」を追いかけた結果と言われてもいたしかたないのではないでしょうか。現実的に「サムソン」のDRAMでいいじゃないか、とグローバル企業が考え、そちらを採用するのももっともだと思います。


 会社更生法の適用下、CEOが飛行機事故で死亡したマイクロンや日立などとの業務提携も視野に入れた再建になるのではと言われているようですが、これまであれだけ提携を断ってきて、今更、上手くいくのでしょうか。
 ところでマイクロンといえば世界最大のコンピュータ関連OEM企業。一時日本に上陸したものの数年で撤退した企業です。マイクロンの経営陣から見れば「待って良かった」ということになるのではとも想像してしまいます。もちろん、エルピーダが「ご注文通り何でも作ります」というメーカーになれるのかどうか、それも疑問です。


 いずれにせよ、とっくに時代は変わっていたのにそれを認めず「我らが産業」と思い込んでいた官僚の失敗でしょう。世界第三位の半導体生産メーカーではあっても国際的な競争力と強引なほどのリーダーシップがなければ破綻するという事実を日本のIT産業関係者はキモに銘じるべきではないでしょうか。


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