【深夜の長電話】
月曜の深夜、というよりも火曜の早朝の４時30分、友人から電話が掛かって来ました。何事か、誰か死んだか、火事にでも会ったのか。寝ぼけたまま電話を取りました。
と、ここまでは４月17日のブログに予告めいた書き方でアップしました。ということで本篇を。
「警官がノーヘルメットでスクーターを運転しているところを発見、問い詰めて、110番に通報して、別の警察官が同僚の反則キップを切るところまで確認した」。彼の話を簡単にまとめるとこうなります。
時系列に沿ってまとめてみると。
１）深夜、車の運転中、大きなＴ字路で信号待ちをしていたところ右方向から「警ら用スクーター」に乗った警官があの「白いヘルメット」を着けずに走りぬけて行った。
２）信号が変わったところでそのスクーターを追跡したところ200メートル程度行ったところで停車したスクーターを発見。すぐ前方に停車して走り寄り、荷物入れからヘルメットを出して被ろうとしていた警官に『変わった形のヘルメットしてるな』と詰問。
３）警官が「オロオロしながらヘルメットをかぶろうとしているところ」を止め、『反則キップを切れ』と要請。警官が『自分で自分のキップは切れない事になっている』と話したため、110番に通報。『ヘルメットなしで走っていたバイクを止めました。服の袖には警視庁というエンブレムが着いています。手に持ったヘルメットには交番の名前が書かれています」と言ったところ、110番のオペレータは『警官がノーヘルメットでバイクを運転していたということでしょうか』と。住所などを知らせた後、近くの交番から数分でスクーターでひとりの警官が到着。ちなみに、その警官が到着するまでにノーヘル警官は、自分で署に電話を掛け『先ほどの通報は自分のことです』と報告後、ほぼ直立不動、無言で待っていたそうです。
４）彼はこれでキップを切れば帰れるぞ、と思ったようなのですが、到着した警官は反則キップを持たずに取り敢えず駆けつけたらしく、キップを持った警官がやってくるのを待つことに。そしてようやくパトカーが。ところがそのパトカーにも積んでいないということが判明したらしいのです。
５）最初に到着した交番警官が『大至急、反則キップ（正しい名称で）を持ってきてほしい』と無線連絡。また待つことに。
６）その後30分。サイレンを鳴らしたパトカーが２台到着。ようやく処理が始まったそうです。警察曰く、『シートベルトとヘルメット用のキップを本署の中で探していました』と。
キップを切るところを確認しながら『身内に優しい警察だから、どうせ握りつぶすんだろうな』とか『ノーヘルは取り締まらないからキップもないんだ』とか『時間稼ぎをすれば諦めるとでも思ったのか』とか『ノーヘルで走っていると頭が割れて死亡につながることもあるんじゃなかったか』とか『ノーヘルひとつで警官７人か』とか『こんなことをすると報復されるな』とか『こんなに面倒なら次からは見て見ぬ振りをする』などと彼はイヤミを連発したそうです。
すでに通報してから50分ほど掛かり、その間、まだ寒い春の深夜なのにコートもなしで立っていたらしいので、そうも言いたくなるでしょう。ところが団体になってしまった警官からは『本署に来てもらってもよかったんだが』と。普通、行かないでしょう、自分が捕まったワケじゃないのに。
寒さの中、数人の警官に囲まれた彼は、通り過ぎる車から「なにやったんだ」と違反者扱いをされているようで仕方なかったと話してくれました。
しかも、彼はもともと権力の傘の下にいる人間の仕事に抵抗がある人間。
寒さと誤解されたような気分、長時間の拘束、ぎこちない雰囲気などで頭にきていたのでしょう。待たせていることを謝る警官や謝罪をしようとする警察署長（そう、署長まで来ていたらしいのです）が何を言おうと聞く耳持たぬ状態になっていたのだと思います。その後、現場を離れ、落ち着いたところで僕に電話をしてきたのです。
彼から電話が掛かってきて１時間半。じっくりと彼のグチを聞きました。最初は興味と疑問と怒りがない交ぜになった状態で聞いていたのですが、そのため僕も睡眠不足に。
今回の「大イベント」、ノーヘルメットの警官よりも警察の対応や処理に疑問が残る〈不祥事〉ですが、『のめり込むのもほどほどにしないと自分が辛い』という彼の言葉通りかもしれません。でも彼の周囲の人たちのように『おまわりのやることには見て見ぬ振りをするもの』という考え方には賛成できません。 彼にとっても僕にとっても、小さな出来事が大きな矛盾を浮かび上がらせた〈事件〉として扱いたい出来事でした。細分化して追求する時が来るかもしれませんが、今は状況報告で収めたいと思います。
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