∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

仕事始め、その前に

【東洋館】


 今日は「仕事初め」。
 この言葉、数年ぶりに味わっています。なにしろこれまで正月返上でアタフタしていたのが、何故か、ポコンと空いたわけですから。


 そんな正月休みの最終日。昨日は足掛け4年掛かたリニューアル工事が終わった東京国立博物館の東洋館に行ってきました。
 正直なところ、あまり気にしていなかったのですが、僕のツイッターのタイムラインに高評価のコメントがいくつも上がったため、半信半疑で出かけることにしました。


 インド、中国、ガンダーラ、クメール……。5つの展示館がある東博のなかで東洋館はアジアの遺跡や仏像、美術品などを展示する館ですが、リニューアル前はお世辞にも見栄えのする展示が行われているとは言えない状況でした。
 インテリアは簡素過ぎるし、照明は平板だし、展示のストーリー性もないし。失礼ながら「出土品倉庫を展示会場にした」と言っても大袈裟ではないくらい。よほど興味があるか、研究者でない限り、何度も足を運ぼうという気にならない旧態依然とした施設だったわけです。


 僕にとっては好印象ゼロの東洋館ですが、建物に入った途端に「これが同じ東洋館?」と思うくらい素敵な空間になっていました。テレビ的に言えば「なんということでしょう!」の世界です。
 全体をダークにまとめ、展示物のひとつひとつに天井からスポットライトを当て、影になる部分には近くからLEDのスポットライトを当てる。それだけでもそれぞれの展示物に新たな息吹きが注ぎ込まれたようです。こんな照明計画のおかげでしょう。唐三彩の色合いがこんなにも美しく強烈な存在感を持つものだと初めて知ったような気がします。また、同じ仏像でもガンダーラと西域、クメールと地域によって顔付きがここまで違うことや、それぞれの像が「その地域の顔つき」をしていることをはっきりと理解できるようになりました。
 展示物も増えたようですが、切れ目なく見ることができるレイアウトになったためでしょう「見続ける作業」が苦も無く続けられます。以前は「機能優先の学校の階段」のようだった階段も次の展示へのアプローチという意味を持ったような気もします。


 「よくぞここまでドラマチックにしてくれた。これでこそ生きる博物館」。満足した気持ちいっぱいで館を出た時、「いい正月だったなあ」と改めて感じてしまいました。


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