∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

昔の僕に出会ったような一日

【写美館、いや、TOP MUSEUMにて】

 今年の秋、2年間の沈黙を破ってリニューアルした東京写真美術館に行ってきました。この4カ月で二回目です。
 再開に際して、それまでの写真中心のコレクションから映像文化全体を俯瞰するような方針に変わったらしく、名前までTOP MUSEUMとリニューアルしたため、これまでのように「写美館」と言いにくくなりましたが、それでもこれだけ写真に焦点を合わせた美術館はほかにはないはずです。あえて言えば、会館当初に参考にしたであろう、ニューヨークのMOMAに似ているくらいでしょう。

 そんな写美館で今日観たのはふたつ。東京を被写体に選んだパーマネント・コレクションと、新進気鋭の写真家による作品展でした。
 パーマネント・コレクションと新進の作品展を観はじめてすぐに、僕は自分と写真とのつながりを時間軸で追体験している自分に気が付きました。

 真剣に写真と向き合っていた時代。横目で観ながらも見つめ続けることができなくなった時代。徐々に写真から離れていった時代。写真を仕事道具としてしか観れなくなった時代。写真を観ながら「自分で写真する」ことに憧れた時代。そして「写真する行為」を諦めた時代。写真に対するベクトルがどんどんと希薄になっていた自分まで見つめる対象にしてしまっている僕がそこにいたように思います。

 展示されている写真を観ているはずなのに、僕だけにしか判らない「時とともに移り変わってきた僕の心象風景」を見つめ直しているような気持ちになっていたのです。あの頃の熱い思いは一体どこに行ってしまったんだろうと思いつつ、「写真の代わりに誰にも負けないくらい燃え盛ったものがあったじゃないか、燃え尽きそうになっても消さずに持ち続けてきた〈気持ち〉もあるじゃないか」と自分を納得させている自分にも気が付きました。

 帰宅するために乗った山手線の中で「もう一度写真してみるかな。でも鈍っているしな。体力も落ちたし。何より、見つめることを忘れているしな」。そんなことをボンヤリと考えながら考えている僕がいました。正直に言うと「写真と向き合うのが怖いんだ」と思います。
 ですが。挑戦することを前提にして、来年一年かけて写真を意識していくことにします。これで来年の目標がひとつ増えますが、現実だけを追いかけずに夢だって追いかけていいはず。……真剣に考えてみます。

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