∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

宮沢りえの着物姿に魅せられて

【本日『ヨルタモリ』終了】

 毎週日曜、夜の楽しみになっていた『ヨルタモリ』が終了しました。一年くらいは続いていたと思いますが終了してしまいまいした。もう少し続くと思っていたのに肩透かしを食らったような気持ちになっています。
 この番組をはじめて見る直前までは「なるほど昼が夜になったわけね」と軽く考えていました。テレフォンショッキングの夜版程度の構成かな、なんてことも想像していました。
 しかし、始まってみると構成やゲストよりも気になるポイントが出てきました。宮沢りえの着物姿です。この方が着物通だということは知っていたので、着物で登場するのは「湯島のバー」という設定に合わせたのかなと感じていましたが、回を重ねるにつれ「ここまで凝るのか」と驚いてしまったのです。
 「ひょっとすると彼女の着物ってアンティーク?」。大柄で大胆な意匠の幾何学模様のもの。白地に淡くボケた色を合わせ、白の空間に驚くほど大きな洋花を描いたもの。今では見ることも少なくなった濃色に明色の柄目をあしらったもの。どれもこれも今の着物には感じられない主張や遊び心のあるものばかりです。しかも染物ばかり。紬のような織物は出てこなかったと思います。ちなみにテレビ用だからでしょうか、バーという設定を意識されたのでしょう、江戸小紋のような捺染ものも出てこなかったように記憶しています。
 このテの着物が着られていたのは、現在のような当り障りのない花鳥風月では誰もが満足出来なかった大正末期から昭和前期までの「最後の着物時代」のはずです。
 そう信じこんでからよく見ていると、帯もローケツ染のものが何度か出てきました。織物の中でも見た目の派手さを追い求めたような金糸遣いの織物は一切出てきませんでした。
 宮沢りえさん、お見事です。圧倒的な選択眼です。何気なく着こなしてしまった着姿も素敵でした。この衣装選びに気がついてからは、ゲストや構成より着物のほうが気になってしまいました。
 昔の経験や記憶が蘇ってきたため、失礼ながら、スタイリストはどなただろうとか、着物のファッションショーがあるたびに宮沢りえがトリを務めている御徒町で大きなビルに本社のある和装業者さんのネットワークで集めたものだろうか、なんてことまで考えてしまいました。

 それはともかく。本当に素敵な着物姿を見せていただきました。ありがとうございます。

 若い女性たちの間でコンディションのいい古着の人気が高まっているのを知っていながら、結局のところ、売上が見込める当り障りのないものばかりを作り続けている着物業界の方々が彼女の着物姿を見て、新たな方向性を見出して動き始めてくださればいいのですが、難しいでしょうね。

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