∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

≡≡ 特別な三社祭 ≡≡

神事であることを再確認した渡御

 「行った? エッ、どうして行かなかったのよ」
 久しぶりに顔を出した東京・根岸の小さな喫茶店。今日はこんな会話から始まりました。典型的な下町気質のおばちゃん店主が話題にしたのはこの週末に行われたトラックで一之宮が渡御した三社祭のこと。せっかちを絵に書いたような彼女らしく主語はありません。
 ちなみに、三社祭の神輿には神社が繰り出す宮神輿が3基あり、その中でも一之宮は最高位のものです。それ以外に各氏子町会が管理している町神輿が約100基あるわけです。

 週末は何もかもをカラッポにすることに費やして来週に備えようと思っていた僕が渡御をパスしたことを茶化しながら、ご自身が見に行った小さな自慢話をスマホに入った写真と共にご拝聴することにしました。

 彼女いわく、台車に載せられた宮神輿が三社神社の境内から左に曲がり二天門を抜けるまではまるで担ぎ手に担がれているようで大感激したと写真を見せながら語る彼女はほかにもお客さんがいる中で興奮気味に語ってくれました。
 写真を見ると、神事の装束を身にまとった神社関係者、祭専用の着物を着た町会長クラス、緑色の半纏をまとった各町会の青年部、笛や太鼓のお囃子方以外にも、私服で神輿を取り囲んでいる氏子衆などが静かに進む神輿を見守っていたようです。コロナ対策のため禁じられていたセイヤセイヤの掛け声はないけれど、境内を進む姿は感動的だったとも語ってくれました。

 そんな話を聞きながら僕は、「神様が神輿に載って町会を回り清めていくのが宮神輿渡御の目的。ただ騒ぐだけが祭じゃない、あくまでも神事なんだ」という祭の原点をコロナ禍が思い出させてくれたんじゃないかと思い始めていました。

 今はただ、三社祭関係者の皆さんがたとえ延期してでも神事だけは続けようとした決断、努力、熱意、工夫に敬意を払うばかり。ありがとうございました。
 おかげで無事に年を越せそうな気がしてきました。

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