【今年も干支ものを】
かれこれ20年くらいになりますが、毎年この時期になると買いに行き、一年間飾っておくものがあります。
干支をはじめとして縁起ものや歌舞伎ものなどを描いた手ぬぐいを作り続けている浅草『ふじや』の日本手ぬぐいは僕にとっては欠かせない生活のアクセント。今では、買わないことなんて考えられなくなっています。
今年、手に入れたのは申にちなんだもの。一廻り前の絵柄を彷彿とさせるような、三番叟を演ずる猿が描かれています。
部屋の中で必ず視線が行く所に水張りをした手ぬぐいを飾ると、「今年も買えた。来年も元気で過ごそう」という安堵と気合いが入り混じった気持ちになれるのです。
先代が作られたものには「庚申」というような十干・十二支で年回りが書かれていましたが、代が変わってからは平成二十八年というような年号が書かれるようになりました。しかし、干支もので変わったのはこれだけ。ほかの手ぬぐいには新風が吹き込んでいますが、これだけは変わりません。
ちなみに、多くの店で日本手ぬぐいを扱うようになった今、決定的な違いはその大きさです。今でも本寸法で作っているのは珍しいのではないでしょうか。ほかの店のように額に水張りをしようとすると長さが足りないなんてことにはなりません。
またひとつ今年の終わり仕事を済ませ、来年を向かえる準備ができたような気がしています。少しずつ少しずつ、良き年を向かえるための準備が整い始めています。あとは、実際に新年を向かえるだけ。
ということで。来年も素晴らしい一年になりますように。できれば、志半ばではなく垂直上昇の願いが叶うといいのですが……。
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