∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

時代は変わった、はずなのに

【念のためという選択肢】

 熊本大地震は二度目のマグニチュード7越えの地震に襲われたうえに、大雨まで降り始め極めて困難な状況に直面することになりました。
 二度の大地震と終わらない余震というこれまでの大地震とは違った激甚災害であるにも関わらず、救助や援助の手が差し伸べられるスピードや内容も格別のものがあるように感じています。また、報道もこれまでのように劇的な効果を狙うものから地に足の着いたものになったようにも感じています。
 そして、被災した皆さんの冷静さや我慢強さにも頭が下がります。

 しかし、ひとつだけ疑問に思うことがあるのです。原発です。日本で唯一稼働している鹿児島県薩摩川内市川内原発が稼働を続けているという事実は、市民感覚からすると、どうしても違和感が残るのです。
 確かに震源からは離れています。原子力規制庁も良しとしています。企業としては稼働停止という選択肢はないでしょう。しかし、これだけ近い所で激甚な大地震が立て続けに起こっている状況のなかでは、不安感を払拭するためにも経営論理を変えることも大切だと思うのですが、いかがでしょう。

 たとえば「稼働することに問題はないが、地震がピークを過ぎるまでは念のために稼働を停止する」というような発想が必要な時代になったのではないでしょうか。

 「インフラ企業の決定に間違いはない」あるいは「地方経済の根幹を握る企業の決定は何にも増して絶対的である」という古典的な発想がいかに間違ったものであったかは5年前に証明されたはずです。よもや、そんな幻想が未だに生きているとは思いたくありませんが、今回の決定はそんな疑問を抱かせるに充分です。

 「力は誇示するよりも協調するための背景に」。そんな、一見弱腰で甘っちょろい哲学こそこれからの時代には不可欠なものではないかと思うのですが、いかがでしょう。
 市民としては「激甚災害に指定されるような地震が起こった場合には、その震源から数百キロ圏内の原子力発電所の稼働を一旦停止すること」というような条項や立法を求めたほうがいいのでしょうか。

[1994]