∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

散髪屋にて

【隣の客がオヤジの餌食】

 「今日は大丈夫かな」と警戒しながら散髪屋に行ってきました。

 この散髪屋、我が家の近くでもっとも貧相で、もっとも愛想のない散髪屋ですが、無愛想なオヤジのどこか憎めないところが好きで通い続けています。もちろん、予約だのなんだのというような難しいことはなし。静かに順番を待ち、呼ばれたらおとなしく椅子に座るだけです。
 ちなみに、僕が20年くらい続けてきた髪型を「時間も掛かるし、難しいんだよね」のひと言で変えてしまったのもこのオヤジです。
 
 実はこのオヤジ、政治・経済からはじまって、祭のことや体調維持の秘訣などあらゆることを、ひたすら喋り、ひたすら答えを期待するという厄介なクセをもっています。椅子に座っている間はオレが主役だとばかり、喋り続けるんです。
 もちろんシャンプーの最中だってお構いなし。ありがちな「カユイ所はありませんか」という言葉の代わりに「政治家ってどいつもこいつもしょうがないと思わない?」と質問形式で喋りかけてくるので、こちらは小声で「そうだよね」と答えることになってしまうんです。

 そんなこともあり、近頃はオヤジに当たらず、無口な息子か、ほかの職人さんが担当してほしいと密かに思いながら通うようになりました。

 そして今日は、幸運なことに職人さんが担当してくれることに。オヤジは隣の椅子で話し続けています。つまり、今の餌食は隣でカットしてもらっているおとうさんというわけです。僕にとっては「フッフッフ、よかった」です。これで静かにカットしてもらえると思っただけでリラックスできます。
 途中でお客さんが変わっても、オヤジは話題を変えてひたすら話し続けていました。「餌食は閉店まで続く」ということでしょうね。このおしゃべりパワーがあのオヤジの「憎めないところ」かもしれません。

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