∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

≡≡ 天丼?五目炒麺?カツカレー?≡≡

半世紀以上、味も接客も不変という魅力

 眩しい光が降り注ぐ梅雨の晴れ間。ちょうどお昼すぎに九段下から駿河台下へ向かっていました。
 「腹も減ったことだし、今日は何を食べようか」

 浮かんだのは「天丼屋」の天丼、「揚子江菜館」の五目炒麺、そして「キッチン南海」のカツカレーの3つでした。つまり、安くて美味いけれど、せわしない店が2軒と、ちょっと歴史にあぐらをかいている店が1軒です。

 どうしようかなあと考えながら歩いていて、気がつくと揚子江菜館を過ぎてキッチン南海の前まで来ていました。

 おとなしく歩道に並んでいると、チャキチャキのお姉さんが注文を聞きに来てくれます。当然『カツカレー』です。先頭から6番目だけど数分で入れるはずという読みが当たり、すぐに「おひとりさま~~」という声が聞こえてきました。声がよく通るのか、大声なのか。彼女の声を聞くといっそうお腹が空いてきます。

 「はーい、一番奥まで行ってね」。言われるがままに奥のカウンターのそのまた一番奥へ。座ってすぐにアイツが出てきました。

 ご飯の横にドサッとキャベツの千切を載せ、カリッと揚がったカツを載せ、そして真っ黒なルーをたっぷりと掛ける。もちろん福神漬は取り放題です。

 この『カツカレー』、これまでにいったい何回食べてきたことでしょう。初めて食べた時から数えると膨大な数になっているはずです。

 天丼、五目炒麺、カツカレー。神保町に来ると何故か選んでしまうこの3つは、少なくともここ半世紀以上、味も接客も変わっていないものばかりです。なかでも、あの池波正太郎が好んだ「揚子江菜館」に至っては明治時代に誕生した店だけに「変わらないにもほどがある」というくらい安定した味をずっと保っているはずです。

 「磨き上げられた変わらない味」がすぐそこに何軒もあるのが神保町の魅力です。いわゆる、新興のチェーン店は苦戦しているのではないでしょうか。

 で、今日の塩梅は。もちろん「ウマかった」です。

[3149]