∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

≡≡ センター街を歩きながら ≡≡

風化させない努力の難しさ

 神戸港を見下ろす山の上で眠る我が父母の墓参りに行った後、三宮センター街に出て神戸流のお好み焼きを腹いっぱい食べる。昨日は身も心も満足できた一日でした。

 満腹のまま、センター街をブラブラしていると『9131-絵がつなぐあの日とそれから』と銘打ったスタンドディスプレーがそこかしこに立っていました。チラッと覗き込んでみると、なんだか難しそうな趣旨説明が書いてありました。
 やけに長い趣旨説明が書かれていましたが、ごっそりと要約すると、10年前にNHKの神戸支局が実施した企画を再度形にした展示のようで、地震直後を思い出して描いた絵と、当時のことを作者から聞き込んだ地震を知らない作家が描いた作品を対比させようという取り組みとか。

 リアルな体験を作品にした展示会はよくありますが、聞き込んだ話をもとにして今の神戸を描き、対比させながら展示するのは意外と珍しい企画。センター街の真ん中に設置されたディスプレーを次々と見せてもらいました。
 で、その印象は。
 趣旨は面白いけれど、追憶をリアルに描いた作品と、現実と遊離したような夢の世界を描いた作品との間に生まれたギャップをどう表現するかという根本的な問題をもっと考えてほしかったというのが正直な感想です。

 伝えたい人と伝えてほしくない人。体験を思い出す人と思い出したくない人。ひと口に“風化させずに伝え続ける”と言っても、反発を招くだけに終わってしまったり、理解されないまま終わってしまったりすることはありがちなことです。

 切実な想いで伝え続ける意志を失ってしまったら後世の人に何も残せません。

 批判もあるし、理解されないところもあるでしょう。自己満足と揶揄されることもあるはずです。しかし、それでも伝え続けなければいけないのです。
 なんらかの形で行動を起こすことで「記録は記憶として残る」のです。昨日見せてもらった作品展も、今は未熟な所があるけれど、やり続けることで充実したものになるのではないでしょうか。

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