こんな時こそ
あわてず
さわがず
あきらめず
心静かに
御題目
「お彼岸とお盆のときだけ渋滞する道路」。東京の本郷から、根津・谷中を経由して、鶯谷に繋がる言問通りのことを地元の人たちはそう言い表します。
寛永寺墓所や都営谷中霊園をはじめとして60以上のお寺が祀る墓所まで集まっている谷中には、お彼岸やお盆の時期になると、多くの方がお墓参りに訪れます。
春分の日の今日は、もとはと言えば、春の彼岸のお中日です。例年なら言問通りが大渋滞するはずだけど、コロナショックのなか、今年はどうなるんだろうと思っていましたが、……例年通り大渋滞でした。特に言問通りから入った細道は、お墓参りの車とそぞろ歩く観光客が入り混じっての大混雑でした。
やはり日本人ですねえ。お墓参りは欠かせないということなんでしょう。もっとも、今年はご先祖様と一緒に花見の宴を開くことが出来ないので、物足りないと感じている方も多いかもしれませんが。
そんな谷中に、江戸末期の医師であり儒学者であり、蔵書家で書誌学に精通し、種痘の治療法を記した『護痘要法』の著者としても名を残している渋江抽斎のお墓が祀られた『感応寺』というお寺があります。ちなみに、渋江抽斎は、54歳の時、コレラに罹り没しています。
その感応寺の掲示板でこんなお言葉に出会いました。
こんな時こそ
あわてず
さわがず
あきらめず
心静かに
御題目
流行り病の予防を教え、流行り病に死んだ医師が眠るお寺で出会ったお言葉。たしかにおっしゃるとおりと納得してしまいした。
コロナショック真っ只中の今、市井の人間が出来るのは「慌てず騒がず、諦めず」の姿勢です。御題目というところはともかくとして、この姿勢は忘れないようにしたいものです。
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