∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

≡≡ 空が広々と見える下町であってくれ ≡≡

谷中地区の高さ制限緩和

 数日前の東京新聞電子版に『谷中 街並み守れ 台東区など高さ制限緩和検討』という記事がアップされました。
 数年前に台東区が提案して以来、くすぶり続けてきた問題がとうとう表面化してきたことを受けての報道でしたが、いささか遅きに接したようにも感じつつ、衆知されただけヨシとしなければと受け止めています。

 この計画、要は谷中地区の「道路の拡幅」「建築物の高さ制限を6階相当に」「ブロック塀からのゆとりを作る」といった計画で、これまでに何度か住民説明会も開かれ、住民からはある程度の妥協と、拒否感混じりの不安が出てきています。

 もともと高さ制限がなく地元の努力で建物の高さを低く保ってきたという谷中地区でしたが、数年前に3階建て相当という制限を台東区が設定したにも関わらず、今回は6階建て相当まで引き上げようという高さ制限の変更は地元の人たちに不安を与えているようです。
 もともと谷中は「高さ制限はないけれど、戦前からの町家や路地がいまだに残っている谷中の街並みは住民が自ら守る」という意識が根付いている地域です。

 そんな「街は自分たちで守る」意識が強い地域なのに、公に高さ制限が出来てしまったら、たとえ6階建て相当であっても、地上げ・マンション建設、交通渋滞など起こるのは目に見えています。
 しかも、谷中は「数十あるお寺が永代供養している墓地と墓地の間に家がある」といっても過言ではない地域です。6階建てのマンションなんて出来てしまったら、安らかに眠られている皆さんを上から見下ろすことになります。

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─余談ですが、そんな地域だからこそ、以前僕が住んでいた上野桜木の11階建てマンションが建てられた時にテレビ報道まで巻き込んだ反対運動が起こったワケです─

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 住民の街並み維持の意識の高さと、お寺や墓地が多いことなどが相まって、小さな建物が密集しているにも関わらず谷中には“空”がたっぷりと広がっています。言葉を代えれば「真上を見上げなくても空が見える」地域です。

 高さ制限は現状どおりの3階建て相当として残し、必要最小限の道路拡幅と人がすれ違うのが精いっぱいという路地の塀の改修に対する補助金支給する。

 谷中が谷中であり続けるためには“空が広々と見える”ことが必須条件ではないでしょうか。都や区にはそんな地域特性を踏まえた再検討をお願いしたいものです。

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