家康は
「及ばざるは過ぎたるに優れリ」との
言葉を残したが
『論語』のなかで「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」と記されている孔子の箴言を、徳川家康は「及ばざるは過ぎたるに優れリ」と言い換えた。
どちらも意味は同じだが、あえて意訳すれば“過剰な供給や支援は、ものごとが不足するよりも悪い措置や選択であるということになる。
コロナ禍が急激に悪化している今、閣僚や官僚はこの箴言を座右の銘にしているのではないだろうかと思うことが多くなった。
政策を出す場合はどんなときでも勿体をつけてとか、前例を重視しなければいけないというような硬直した考えだけで政策を決定してわけではないと信じたいのだが、そんな信頼感を揺らがせるような決定ばかりが目についてしまっているのは私だけではないだろう。
ようやく13日から京阪神や中京エリアにも緊急事態宣言の発出が決まった。
資金援助などを含むものになりそうだが、これだって民意に押されたとしか思えないものを形にしただけ。まさに「及ばざるは過ぎたるに優れリ」の精神を反映させているのかどうか、内容はあくまでも最低限である。
コロナ禍のような危急存亡に対処するときほど、広範な調査網と知見を駆使して先手先手の施策を練り上げておくべきもの。そんな“準備”があればこそ「いざというときには個々人の行動は厳しく締め付けるが、誰もが経済的な困窮に陥らないように支援する」という姿勢が取れるものだ。
それなのに「言ってきたなら仕方あるまい」的に伝家の宝刀を振り下ろすとしか思えないようなスタンスで発出するとは……。支持率が下がり続けるのもうなずける。
国にはそろそろ気付いて欲しいものである、今求められているものは何なのかを。
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