大所高所に立った先手必勝策
13日夜。正式に京阪神と中京エリアと栃木県にコロナ対応の緊急事態宣言が発出された。どこも感染者は増加し続け、医療体制は崩壊寸前かすでに崩壊しているかという切羽詰まったエリアばかりである。
ここまでは予想通りだったが、今回の発出には福岡県が含まれていた。県知事から要請していないにも関わらずである。
ニュースを見ていると、疑問や混乱と同時に怒りにも似た反発も含まれていた。首都圏と同様に、特に飲食店からの反発が強いようだが、おそらく政府としては“読み込み済み”だったのではないかと想像している。
それはそれとして。
今回の発出に関しては、医療崩壊を起こしそうだと危惧されている熊本県や宮崎県ではなく福岡県というところに大きな意味がありそうだ。
つまり、突出した福岡さえ抑えれば、熊本だけではなく九州全土に緊急事態宣言を発出したのと同様の効果があると考えたのではないかと想像できるのだ。
予防的とも取れる今回の発出は、ひょっとすると、民意に押され続けてきた国の対応に発想の転換が起こっているのが原因ではないかと私は考えている。
これ以上ないほど甘く言えば「後手後手から、大所高所に立って先手を打つ」作戦である。
これだけの政策を突然発出するのだから反発はあって当然。それ以上の効果と補償が期待できる信頼感があればいいのだ。
とはいっても、先手が取れるようになっても課題はいくつも残っている。たとえば、これまでに失ってしまった信頼感を取り戻すための策を次々と打ち出すことや、発表する時のプレゼン力、国民に寄り添っていると思わせてくれるコミュニケーション能力などである。
“つまずきっぱなし”のコロナ対応に道を開くためのハードルは思った以上に高い。今回の先手必勝策がその第一歩になることを願っている。
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