「範を垂れる」とは
*範を垂れる=みずから手本を示す(コトバンク)*
日本医師会の中川会長が「政治家の皆さんには範を垂れていただきたい」と語ってから約1週間経つが、どうもこの言葉、政治家はもとより財界人の皆さんにも伝わっていなかったようだ。
かの週刊文春がスクープした石破元自民党幹事長の福岡「ふく会席」問題の話である。
氏は掲載を受けて「お断りするのは礼を失すると思い出席した。国民の皆さまへの配慮が足りなかった。深くおわび申し上げたい」と語っている。
総理が5人規模の宴席に出席し、問題ありと指摘されて何日も経っていないこの時期ではあるが、私は氏の姿勢だけに問題があるとは思っていない。
誰とは言わないが、根本的に席を設けようとした事自体が時勢にそぐわないことを認識していないことに問題があるのだ。
私に言わせれば、誘われるがままに出席した石破氏は「ハメられた被害者」である。
ちなみに現職の長野市長がある企業が200人規模で開催した新年会に出席して「感染対策をしているところは積極的に出るようにしたいと考えている。問題はない」とのコメントを残したことも報道されている。
これらの問題が明るみに出たのを機に「範を垂れる」という言葉を政治家や財界人などの権力層に望んではいけないことと認識を新たにした。
仕事終わりと言えども腰を据えて飲みに行ってはいけない。
仕事をするならできるだけ家でしろ。
感染予防が徹底しているかどうかは自分で判断しろ。
義理を欠いてもいいから人との接触は極力避けろ。
こんな難題に取り組むのは庶民だけに課されたものということがやっと分かった。緊急事態宣言下の正しい生活スタイルをリーダーシップを取っている(はずの)誰かに見習おうなんて期待はしてはいけなかったのだ。
まさに自律すべきは庶民のみ、である。
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