我が身を振り返って
池江璃花子選手が東京オリンピック代表選考会の100メートルバタフライで優勝し、東京オリンピックの出場内定を勝ち取った。
お見事。感動した。勇気をもらった。おめでとう。
どの言葉も空虚なものに聞こえるくらい。アスリートというワクを超えて人間として敬意と喝采を贈りたいくらいだ。
1年半前、白血病という深刻な病から立ち直った彼女が、無残なまでに削げ落ちた筋肉のままレースに出てきた時は、病み上がりなのに何もそこまでと憐れむような目で見てしまった自分が今となっては恥ずかしい。
泳ぐために自らを律し、磨き上げるために彼女はどれだけの努力を重ねてきたのだろう。
いくら努力しても、あがいたり気持ちばかりが空回りしたりすることも多いと信じ、これまで私は「努力は必ず報われる」という言葉に疑問をいだいてきた。
しかし、彼女が優勝インタビューで語った「苦しくてもしんどくても努力は報われるんだなと思いました」というコメントを聞いた瞬間に自分の思い込みこそ間違いだったということを思い知った。
どん底に落ちても、立ち直り復帰する日を目標にして、諦めずに歩みを進め、精いっぱい生きること。諦めずに生き続けた結果に「勝利」があるのかもしれないが、それよりも、その過程の生き方にこそ意味がある。
彼女の優勝は、私に努力の意味を考え直すきっかけを与えてくれた。
優勝おめでとう。内定おめでとう。そして、ありがとう。
[0405 - 3742]