山粧う時期は
季節の再生が始まる時
二十四節気で表される“秋”の最終章、『霜降』の候になった。『暦便覧』に「露が陰気に結ばれて霜となりて降るゆゑ也」と記されているように、里山では山粧い(やまよそおい)、霜が降りるようになる。
そして都会の街路樹も、まるで秋のフィナーレを飾るかのように、黄色く、赤く色づきはじめる。
秋が終わる頃は自然が再生を始める時期でもある。木々の葉が色づき、落ちたあと、自然は春の準備をし始める。
一種の冬眠状態に入った樹木は、蓄えた養分を新芽の生育に当て、春の芽吹きを待つ。樹木が毎年繰り返している春の準備は、この時期に始まると言っても差し支えない。
晩秋を迎えて今年一年の役目を終えた木々が、厳しい環境の冬を越え、やがて春になると芽吹きのための新たな生命が吹き込まれる。
「秋の最終章は春への序章」。新たな時への淡い期待を抱きながら過ごしたい。
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『霜降』‥秋の最終章。澄み切った冷気に包まれ、霜が降る。山粧う時。
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