∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

≡≡ 陥落 ≡≡

そして、新たな展開へ

 今日の夕方、82日間集中砲火を受けていたウクライナマリウポリのアゾフスタル製鉄所が陥落したというニュースが飛び込んできた。
 この戦況の変化について、ウクライナ政府は「マリウポリの守備隊は戦闘任務を全うした。アゾフスタリ製鉄所の防衛任務は終了した」と発表している。局地的にみれば陥落だが、軍備増強に必要な時間を稼ぎ出したという視点からみれば任務完了ということになるのだろう。

 おそらくロシア側は、この陥落を偉大な成果だと主張しはじめるだろう。だが、それで済むだろうか。
 ゼレンスキー大統領は任務完了の声明を出した時に「ウクライナにはウクライナの英雄が生きている必要がある。マリウポリ守備隊の救出作戦が、軍と情報将校により開始された」とも語っていたが、それが完了したあとの展開については語らなかった。

 個人的には、ウクライナは時期を見計らって反攻しはじめると考えるほうが合理的だと感じている。捕虜交換、負傷者収容、市街地に戻ってきた市民への注意喚起などが完了するまでに長く見積もれば2カ月は掛かるだろう。
 一方、アメリカやEU諸国からの新たな武器供与が完了するまでには2カ月掛かると言われている。

 つまり、あと2カ月も経てばウクライナは新たに手に入れた兵器を使った反攻に出られるわけだ。

 ウクライナ南東部での反攻が必須なことと、市民が住む市街地での戦闘への注意。この2点は絶対に必要だが、ロシア軍兵士しかいない(はずの)製鉄所周辺には大規模で広範囲な攻撃が仕掛けられるのだ。これまでの戦略策定と情報支援と兵士の力量、そして士気の下がっているロシア軍の現状などを考え合わせると、ウクライナにとって有利な展開が期待できそうなことは容易に想像がつく。問題は戦線が北東部と南部に分かれるために起こる戦力分散だけではないだろうか。

 最後になってしまったが、マリウポリ全域で2万5千人以上、製鉄所だけで1千人以上と言われている犠牲者の皆さんには深く、深く、哀悼の意を表するとともに、死力を尽くして戦い抜いた兵士の皆さんには最大の敬意を捧げたい。
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[season12/0517/25:00]
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photograph:ueno park, taito city
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