∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

≡≡ 散髪屋にて ≡≡

「お客さんの周辺でコロナに罹った人って何人くらいいます?」。
 いつもの散髪屋で髪を切ってもらっていたら、若旦那がこんな質問をしてきた。幸いにも私の周囲にはまだいないようだが、彼の周囲では6人ほど感染者が出ているという。しかも、そのなかには感染2回という運の悪い人もいるという。30歳台のその御仁は1度もワクチン接種していなかったが、それでも軽症で済んだらしい。

 従来なら、ワクチンを接種していれば多少感染も防げるうえに、重症化のリスクも低減するという研究結果を信じることが出来た。
 だが専門家たちの意見を慎重に聞いていると、ウイルスがほぼBA.5に置き換わった今、これまでのワクチン接種で期待できた感染率の低減には疑問符が付いているらしい。重症化しにくいメリットが残っているだけのようだ。つまり、ワクチン接種の回数は有効な判断基準ではなくなっているわけだ。

 後手後手の対策で、新規感染者が増えると急に慌て始める傾向は変わらないが、それでも「波」を重ねるに連れて医療体制は整備されてきた。そのおかげで経済活動の推進も可能になった。
 この指針を皮肉を込めて理解すれば「罹っても治せるようになったし、重症化しにくくなったから、行動制限せずに経済活動を回復させよう」ということ。大所高所に立てば理にかなった論理のようにみえるが、感染するかどうかは個々人に任せると言われているような気がする。

 いまだに何人感染したかどうかが気になっている散髪屋の若旦那は、いつの間にか国の視線が感染者数の増加より経済復興に変わっていたことに気がついていないのかもしれない。

 コロナ禍を人数で評価するフェーズは終わった。

 経済活動を圧迫するくらいに新規感染者が増えない限り、行動制限なし、医療ひっ迫やむなし、個人の自主判断優先という現体制は続くだろう。言い換えれば、実質的な新型コロナのインフルエンザ化だ。

 知らず知らずの間に変わってしまったこのフェーズをどう乗り切るか、冷静に考えておく必要がありそうだ。
__________________________
[season12/0724/25:10]
大暑』‥暑さのピーク。夏休み。熱中症。暑中見舞い。土用の丑
photograph:FOUNTAIN / ueno park, taito city
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄