∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

≡≡ 蓄積トリチウム問題 ≡≡

-信じるべきか、疑うべきか-
ここまでの手続きに問題はなかったのか

 数日前、NHKが「「トリチウムは生物濃縮しない」 処理水の疑問 専門家の見解は」という取材結果を報道した。
 茨城大学大学院理工学研究科の鳥養祐二教授による「これまでの研究では、水の状態のトリチウムが生物濃縮を起こすことは確認されていない」という研究発表や、長崎大学原爆後障害医療研究所 高村昇教授の「処理水を毎日飲んだとしても、被ばく量は胸のレントゲン写真をとるときよりも低い。がんリスクが高まる線量に達するまで100年以上かかるため健康への影響は考えにくい」という見解、日本文理大学 甲斐倫明教授の「現時点で有機結合型トリチウムが重大な問題になるととは思えないが、モニタリングなどによって確認、発信していくことが大事」というような見解をまとめたものだった。(コメントは一部要約・改稿)
 こうやって、科学者から「海産物に放射性物質が蓄積されることも、それを食べた人にも悪影響は出ない」という発表があるとなんとなくホッとしてしまうのは私だけではないだろう。

 たとえ水素で構成されている物質とはいえ、それが放射性物質である限り、身体に蓄積されて、やがてガンや甲状腺異常を引き起こすのではないかと考えるのが当たり前だ。一方で、国や東電などの “関係者” は、これまで放射線による人体への影響にはあまり触れることなく、作業報告と決定事項だけを発信してきた。
 つまり “関係者” は放射線の影響を科学的に判断する手続きを発信して安全性を訴えることなく、ALPSで安全なレベルまで濾過された処理水を海に放出するという決定事項だけを発表してきたわけだ。

 しかし、処理水の海中放出は、国や科学者が主導しているから国民はその決定に従ってほしいという定型的な手続きで取り組みを進めてきた。しかし、漠然と「専門家が安全だというんだから安全なんだろう」と信じ込ませて済む問題ではない。
 中国の攻撃的な姿勢は別問題だとしても、少なくとも「ALPSだから安全」という短絡的な発信で済ませてきたことには問題があったと強く感じている。10数年前にこの作業が始まった頃、何度も角度を変えて報道されてきた方法論を改めて積極的に発信すべきだったのを怠って規定の事実として扱ってきたことは重大な欠落ではないだろうか。

 一般論として、地道に結果を伝える作業を怠って結論だけを発表すれば反発が起きるのは当たり前である。

 重要決定として作業が始まった以上、誰もが安全性を信じられるようになるまで、国は事態の推移を見守り、科学者は研究を続けてもらいたいところだが、その覚悟はあるのだろうか。
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[season13┃10 Sep. 2023┃11:45 JST
┃TOKYO : PRAY for the people┃
kaneiji : ueno park, taito city.
Photographed on 02 Jan. 2023