∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

≡≡ “横並び”の街にしないで ≡≡

本格的に動き始めた
秋葉原再開発

 ゴチャゴチャだし、しばらく行かないとすっかり風景が変わっている。そうでなくても何が出てくるか分からない。秋葉原はそんな街です。

 工事業者向けの電器製品を売る卸売業者と安売り自慢の小売店が混在していた時期。
 今では世界の覇権を握ることになったデジタル界の先駆者たちが怒涛の進撃をしていた時期。
 歩行者天国の中央通りで外国人 “客引き” が声を掛けて、裏通りの小さな店舗に客を誘導していた時期。
 PCのハードウェアを熟知した専門家がパーツを取り出せればいいと検証できないようにラップで包んだPCを集めた小売店が軒を並べていた時期。
 ボーカロイドの先駆者、初音ミクが街を占領していた時期。
 思わず見直してしまいそうなメイド姿のおねえさんが路上を埋めていた時期。

 昭和初期まで存在した神田青果市場(アキバのやっちゃ場)がなくなった後、秋葉原は世の中のニーズを的確に取り入れ発信し続けてきました。今でも家電を始めとしてIT関連の先端商品はこの街から世界に拡散していくと言っても過言ではありません。

 そんな秋葉原がまた変わろうとしています。この20年ほどで充分に変わったと思っていた私は「また変わるのか、また新しくなるのか」と唖然としています。と同時に、今回の都市再開発は、秋葉原の一角とはいえ、いちばんごちゃごちゃしていた場所の再開発ということで、これまでの計画とは違った意図があるようにも感じています。

 なんでも超高層ビル一棟を核とした再開発のようですが、あのゴチャゴチャ感がない秋葉原なんて秋葉原じゃないと感じているのは私だけではないはずです。
 秋葉原だけは「キレイに整った東京」の仲間入りをしてほしくないんです。いつまでも “アクの強さ”と “とびっきりの勢い” があって欲しいんです。百歩譲ったとしても “横並びの街” になって欲しくないんです。

 いつの時代も、秋葉原は「どこに向かっているのか誰にも分からない自由形の街」でした。
 今回やむを得ず再開発をするにしても、あのゴチャゴチャ感やワクワク感、素人お断りオタク優先、新しいムーブメント大歓迎という独特の空気感だけは残して欲しいんです。どこにでもあるような街歩きしか出来ない街にするのだけはゴメンなんです。

 秋葉原よ、秋葉原であれ!
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[season13┃11 Oct. 2023┃12:40 JST
┃TOKYO : no one, no sound, no wind┃
tukiji bei(corrugated wall), yanaka, taito city.
Photographed on 01 Sep. 2022