∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

≡≡ 黄色は東京の秋色 ≡≡

町並みを彩る
黄色く色づいた銀杏

 紅葉シーズン真っ盛りの今、テレビニュースの各地の紅葉事情を見ていると、改めて「秋の行楽は紅葉狩りから」という言葉を思い出してしまう。
 東京都心部では見頃になるまでもうしばらく時間が掛かりそうだが、定点観測的に毎日同じ木を見続け、色づいていく様子を楽しむのを一興かもしれない。

「火事と喧嘩は江戸の華」と言われていた江戸時代、東京東部の殆どが焼け野原になってしまった関東大震災と大空襲。東京は「火」の恐ろしさを知っている街である。同時に “銀杏は火に強い” という民間伝承も古来から伝えられてきた。
 そのためか、東京には銀杏の木が多い。寺社の境内や公園はもとより、以前は街路樹にも多く採用され、夏には木陰を、秋には黄色く色づいた紅葉を、それぞれプレゼントしてくれている。

 余談だが、「都のシンボルマークは東京のTをモチーフにしたもので、けっして銀杏の葉ではありません」と東京都は主張しているが、どう見ても銀杏である。

 幸運なことに、私は春には桜の花の絨毯、秋には黄色い銀杏葉の絨毯を楽しみながら過ごしている。たしかに毎日のように大々的な清掃が必要になるのが難点だが、季節の移ろいを足元から感じる満足感は何ものにも替えがたい。清掃の人々に感謝するばかりである。

 赤、木、茶、緑など数々の色合いが連なる紅葉カクテルが美しいのは当然だが、寺社の境内に堂々とそびえ立つご神木の黄色、ガラスを多用したビルを背景にした街路樹の黄色。黄色に溢れた街の風景というのもオツなものである。

 あと少し、あと少し。黄色い東京風景と出会える日はすぐそこまで来ている。
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[season13┃25 Oct. 2023┃12:25 JST
┃TOKYO : TIME YELLOW┃
matsutiyama shoden, asakusa taito city.
Photographed on 28 Nov. 2021