∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

〓〓 あと2週間もすれば…… 〓〓

弥生三月。花見月。
修二会の声が聞こえてくる

 三月。和名なら弥生である。日本の古語で「弥(いや)は《ますます》、「生(おい)は《生い茂る》」を意味していたと言われている。つまり「ますます生い茂る」というわけだ。
 ますます生い茂ると言われても、この寒さではピンとこないが、月も半ばを過ぎる頃になると春を実感できるようになる。

 そんな三月。奈良・東大寺二月堂では『修二会』が始まった。一般的に、法要のなかで行われる儀式の名称である「お水取り」を切り取って総称としている法要である。
 正式名称を「十一面悔過(じゅういちめんけか)法要」と言うこの法要は鎮護国家、天下泰安、風雨順時、五穀豊穣、万民快楽を願う法要として天平勝宝4年(752)に始まり、以来、一度も途切れることなく今年で1273年目を迎える。
 夜を徹して行われるこの法要は、行を勤める練行衆(れんぎょうしゅう)の道明かりとして、夜毎、大きな松明に火がともされる。特に3月15日の「満行」の夜は大松明がお堂の廊下を駆け巡る。その大松明が撒き散らす火の粉を浴びると無病息災のご利益があると言われ、多くの人々が火傷するのを覚悟で集まってくる。

 私は、この歳になっても「奈良のお水取り」の声が聞こえてくると「あー、春が来る」と思ってしまう。特に大松明の火の粉が飛び散る満行の夜の光景を観ると春の到来を実感してしまう。
 ちなみに、その夜から3日後に始まるセンバツ高校野球の閉会式を迎える頃になると「春真っ盛り」になる。
 つまり、関西の春は東大寺二月堂の「お水取り」で始まり、「センバツ高校野球」で盛りを迎えるわけだ。

 まだか、まだかと待ち望んでいた春はそこまで来ている。心地よい季節の到来までもう少しの辛抱だ。

≡≡[season14]24:10/Feb.29.2024 -雨水-≡≡
┃SPRING IMPRESSIONS┃
-Fragrance of Springtime-
Nezu-jinja, Nezu, Bunkyo city.
Photographed on Mar.05.2023