∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

東京の地下鉄

今日、東京メトロターミナル駅で海外からの観光客とひと目で分かるご夫婦に出会った。大きな駅と言っても表参道のようなインフォメーションがない駅の事、彼らは途方に暮れながらも真剣に、路線図と地図を頼りにどの路線に乗ればいいのか探していた。
僕も、国内、国外を問わず、いろいろな街で地図を片手に迷うことが多い。これまでお世話になってきた方々への恩返しの意味も込めて、こんな時はできるだけお手伝いするようにしている。
特に、東京の地下鉄は、東京メトロが9路線、都営地下鉄が4路線の合計13路線あるうえに、それぞれに私鉄やJRとの相互乗り入れもある。乗り換えも上に行ったり、下に行ったり、ホーム経由や地下道経由など、よほど慣れていないと方向感覚が消滅する地下道で迷ってしまう。きっと「アレッ、間違えたかな」と何度も迷子になっているのは僕だけではないと確信している。ギブアップして、一度、地上に出てから再挑戦した経験のある人だって多いはずだ、と思っていたい。
僕の場合、地上では「散歩」と称して自主的に迷子になることもあるが、こと地下鉄での迷子は困る。なにしろ興味深い建造物も坂道もないのだから。ちょっと迷子になってみたいなと思ってしまうのはデパートや地下の商店街が発達している池袋くらいのものだ。
さて、ご夫婦へのお手伝いである。まずはどこに行きたいのかを聞いてみた。新宿三丁目だという。なるほど、丸の内線ですか。ここからだとエーッと。一瞬考えてしまったが、落ち着いて考えると、確か、地下道を通れば丸ノ内線の改札に行けるはずということを思い出した。しかし、改札がどこにあるか分からない。結局3人で駅員さんに聞くことにした。彼曰く「あっちですよ」。そうだ、この地下道を2〜3分歩けばあったはず。なにしろ、自分で乗ったことがないので、どうも頼りない。それでも、なんとかガイドできたようだ。ご夫婦も喜んでいる。赤い丸印の路線に乗ってください、と言って別れたのだが、あれで大丈夫だったろうか。
それにしても、東京ほど地下鉄が発達し、地下にもうひとつの街が出来上がっている大都市ってあるのだろうか。ナビタイムのような乗り換えガイドがないと安心して地下鉄に乗ってられない街ってあるのだろうか。少なくともニューヨーク、ロンドン、パリ、香港、シドニー、名古屋、大阪、神戸ではこんなに不安になることはない。きっと、あのご夫婦も、同じように感じていたに違いない。きっと僕と同じだと思っておこう。
以前、地下鉄のすべてを熟知した地下鉄マスターになれればいいな、なんて思ったこともあった。しかし、これほど巨大な交通ネットワークを熟知するなんて、よほどでないと難しいと気付いた時からは、どこへ行くにもナビタイムと駅員さんが頼りである。
これから受験シーズンが本格化する季節。受験生諸君と子離れ未了の保護者の皆さんへ。試験期間中だけは慎重にご利用を。でも、試験が終われば自主的迷子も楽しいぞ、である。
[本日で連続0084日]