∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

盆栽趣味

盆栽? 年寄りになってから楽しむ趣味ですか、という事なかれ。確かにそんな印象が強いが、実は、幅広い年齢層で密かに人気が高まっている。
最初はお花屋さんで見つけた小さな盆栽が素敵だったのでのめり込んでしまった、という人が多いのではないだろうか。
こんな小さな盆栽をミニ盆栽という。直径10〜15センチ程度の小さな植木鉢にサツキなど育てやすい若木を植え込み、自分好みの形に整えていくというハイアマチュアのレベルから、思い思いの鉢や水盤などに半円状や小山のように丸めた土を盛り、若木を植え込み、周りにぐるりと苔を貼りつけた「苔玉盆栽」という簡単なものまで。樹木の種類もあらゆるものが対象にされている。
最初は水やりも簡単にコップであげていたものが、丁寧に土の部分にだけあげるようになったり、将来の枝ぶりを想像しながら剪定をし始めると、もう逃げられない。知識も道具もドンドンとレベルが上がっていく。まさに趣味の世界、盆栽のために自宅のリフォームだってやりかねなくなる。
ところで、盆栽と鉢植えの違いはどこにあるのだろう。盆栽は剪定や接木などのワザを用いながら自然の中で植生する樹木を創りだすもの。それに対して鉢植えは、大きくなるのを妨げることなく、剪定も、あるがままに整えたり、インテリアデザインとして整える程度。つまり、盆栽とは人間が自然の擬似環境を何十年も掛けて創りだすものなのだ。
2月13日から20日まで「国風盆栽展」という日本最大の盆栽の展覧会が開催される。なんと昭和9年から開催されている歴史ある展覧会である。今年は例年開催している東京都美術館がリニューアル中ということで、浅草の都立産業貿易センターで行われるのだが、きっと今年も国宝級や、通常は人目に触れることのない貴重な作品が多く展示されるだろう。それだけに、そこに集まる盆栽好きはまさに老若男女。海外からの見学者も多く多種多様になることが想像できる。
僕は10年ほど前から行くようになったのだが、毎年、圧倒されたり感動したりしている。作品がすべて人間が創りだした擬似自然で、すべて「生き物」というところがほかの展覧会とはまったく違う。見た時の景色は次の日になると微妙に変化しているはずなのだ。こんな生きた作品を見れる機会なんてこの展覧会しかないのだ。しかも、まだ寒さ厳しい時節であるにも関わらず、会場内には春の花が咲き、ひと足早く春を感じられるのだ。
僕の基準では、この展覧会が終わる頃、東京にも春の兆しがやってくる。
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