∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

啓蟄

◇今日は「土の中で冬を過ごした虫が、外に出て動き始める日」とされる『啓蟄』。二四節季の中で立春、雨水に続く日で、実質的には春が始まる日である。
確かに今日は、これまでと比べると暖かかった。のどかな春の日差しが身体全身を包みこみ、心地良く、のびのびと一日を過ごすことができた。
◇二四節気というのは、旧暦の考え方で、一年を24に区切り、それぞれ15日程度に節(月の前半)と中(月の後半)に分け、その時期にふさわしい言葉で表したものである。
つまり、昔の日本人は「月」という概念のほかに「節気」というより細かくて季節感のある概念を持っていたわけである。
この節気以外にも、「春夏秋冬」は当然として「五節句」という季節の変わり目と「何かの祝いや祓い」を祈る日両方の意味を持たせた祭事の日もある。たとえば七草粥を食べる1月7日は「人日の節句」。男の子の成長を祈る「端午の節句」は本来、無病息災を祈る日だった。
なんと豊かな自然との協調。日本人は古来から自然の移ろいを生活の中で表現し、生活のアクセントにしてきた。
◇僕は、こんな日本ならではの季節表現をほとんど気にせずに生きてきた。正直なところ、季節の表情を見つめることの少ない現代生活では、言葉としては知っていても実際には古典の世界の話としか位置づけていなかったのだ。
しかし、俳句の季語もそうだが、言葉を一人歩きさせずに生活のアクセントとして意識すると、これまで感じなかった季節感を感じることができ、生活そのものが豊かな情緒に彩られるような気がする。
ひな祭りや鯉のぼり、七夕、お月見などのその季節ならではの祭事ももっと意味あるものとして味わうことができそうだ。
◇毎日を月と曜日でカウントするだけでは見えてこない季節感を、二四節気や五節句などの祭事を活用しながら、生活に潤いを取り入れるように意識してみよう。きっとこれまで見えなかった風景が見えるようになるだろう。
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