∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

大学受験

◇もう数十年前になってしまったが、当時、僕は東京で写真の勉強がしたいと真剣に思っていた。そしていくつかの大学の入学試験を経験し、いくつかの大学では合格し、いくつかはすべった。結局、2年がかりで希望通り東京の大学で写真を勉強することになった。
◇最終的に行くことになった大学を下見に行った時、「これでも東京?」と焦ったことを覚えている。とにかく山の中だったのだ。大都会東京をイメージしていたのに、夕方になると、なんとムササビが飛ぶような山の中にその大学はあった。
神戸で育った僕は六甲山は知っていても、ムササビや野うさぎが生きている山奥なんて知らなかった。大学入学というお題目がなければ、きっとすぐに帰ってきていただろう。いや、行くことさえ考えなかったかもしれない。
◇いくつか受けた大学はすべて自分で結果を見に行った。「ダメか」もあれば「ヨシッ」もあったわけだが、どの大学でも淡々と結果を見たような覚えがある。受かったところでもあまり高揚感がなかったのだ。「ああ、受かった」程度である。
行くことにした大学の発表のとき、自分の番号を見つけた時はホッとして一気に緊張が緩み、喜びよりも妙な脱力感を感じたことを覚えている。
当然、大声も出さないし、小躍りもしない。番号を確認したらすぐにその場を立ち去った。結局、嬉しさがこみ上げてきたのは次の日の朝だった。
あの時の感情を今も持ち続けていれば、僕の生き方も違ってくると思うのだが、さすがに多くの経験をしてきたからか、あんな感情が心の底から湧いてくることもなくなった。
◇今日は国立大学の試験発表の日。毎年のことだが、東京大学の様子をテレビニュースで見た。あんなに泣いたり大声を出したりして喜びを表現するなんて僕にはできない。きっと、サッと見てすぐに引き上げるだろう。
◇ところで、失敗した数多くの東大受験生諸君。諸君は東大を受験するだけの力量が備わっていたのだ。これからの人生、どんな時にもその「心に秘めた勲章」を大切にしてほしい。
そして、人生のどんなステージでも努力と熱意と信念で「センター」を目指そう。センターというトップを行く人間にだけ許された場所を目指すことで、きっと人生は豊かに花開く。
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