∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

隅田川花火大会

【光の競演】


 先ほど、隅田川の花火大会が終了しました。例年通りの進行で、5分間続くフィナーレには大玉、光の束、はじけ続ける光の塊、ありとあらゆる「花火」が夜空に舞いました。まさに「真夏の夜の光の競演」です。
 大震災直後には「不謹慎」という声や、震災で影響を受けた花火工場もあり「準備ができない」という声が聞こえ、今年は中止なのかとやきもきさせられましたが、こうやって終わってみると……。 やはり、東京の下町の夏に花火は欠かせないものだということまで、改めて実感しました。そのうえ今年は花火には鎮魂の意味もあるということまで知りました。
 関係者の皆さんに、開催してくれてありがとうと言いたい心境です。


【花火の準備】


 隅田川花火大会が開催される約1カ月前。会場に近い台東区墨田区の住民の間でも花火の準備が始まります。
 見物に訪れる方にとっては、あまり関係ないことですが、地元にとっては三社さまなどの祭に次いでの大イベントです。
 それぞれのお宅では花火見物の宴会のための連絡が始まります。
 ボーイスカウトや町会青年部、区役所職員など数多くの人々と消防、警察、公共交通機関など運営に欠かせない裏方さんの打ち合わせも始まります。
 なかでも消防署の働きは地元の人たちにとって目立つ存在。マンションやビル、あるいは路地裏などを一軒、一筋ずつ廻って火の粉や不発弾が引き起こす可能性のある可燃物の撤去を依頼したり、消火設備の点検を本格化させます。
 また、会場から一定の距離にあるビルの屋上で宴会する場合、消防署に連絡して注意事項を確認、花火の前日の消防臨検に合格しないと屋上自体の使用が許可されません。
 ちょっと堅苦しいようですが、川沿いのビルほどのことはありません。なにしろ川沿いの場合、当日の屋上使用も、川に面した窓を開けることも、ベランダに可燃物を置くことも許されないのですから。水の入ったバケツを準備しておくことまで指導されます。
 こう書くと、なかには権力の乱用だ、と考える方もいらっしゃるでしょう。でも、地元では当然のこととして受け入れられています。
 というのも、不発弾が窓から飛び込んできてボヤを起こしたとか、防水シールドが焼けたとか、屋上にいた見物客が火の粉でやけどした、なんて話が毎年のように出てくるのですから。
 それだけに消防署も真剣。徹底的に「火の気」を排除するように駆け回っています。


 そんな危険防止の準備をしながらも住民は徐々にボルテージを上げていき、当日の朝ともなると、宴会の準備で大騒ぎになります。
 いくら川の中央部が打ち上げ場所になるとはいえ、100メートル先で花火が上がる住宅密集地で行われる大花火大会のこと、あの迫力を知っている人々にとっては、危ないものは撤去して思う存分楽しもうと大わらわ。夕方、大会開始10分前に打ち上げられる合図の音が聞こえてくるまでにすべての準備を終えて、あとは楽しむだけにしたいわけです。


【また来年】


 花火が終わり、東京の下町の夏は終わりました。
 もちろん、宴会は続いているでしょうし、見物を終えた人々が乗る公共交通機関には人々が殺到していることでしょう。でも、終わりました。
 光の競演に見惚れてエネルギーを満たし、同時に大震災で亡くなった方のご冥福をお祈りし。
 花火の夜は、やはり、特別の夜でした。


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