∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

ゴム長の市民権

【雨の日ファッション】


 東京では台風というよりも強い雨で終わった台風4号。今日はすっかり陽射しが戻りましたが、先日、街で通り過ぎた女性の足元が今も目の奥に強い記憶として残っています。


 数年前から女性の雨の日ファッションが劇的に変わって来たと感じているのですが、彼女もそんな変化を体現しているひとりでした。
 ひと昔前までは雨の日であってもゴム長を履くなんて都会の女性がすることじゃないと信じられていました。しかし、花柄や幾何学模様のプリントが施されたシリコンゴムのゴム長がデビューして以来、ゴム長に市民権が与えられるようになったのはご存じのとおり。
 「どんなに可愛くてもゴム長はゴム長だろ」と言い切る僕の友人もいますが、ほとんどは好意的に受け止められているこのゴム長、今年は長さも種類が増えたし、トップにヒモを施してデザイン的にもバリエーションが増えたようです。
 ゴム長が受け入れられるようになったことで、乗馬靴タイプのジョッパーブーツのようなクラシック・スタイルも復権したようです。
 そんな中、街で出会った女性が履いていたのは高さ15センチ程度のショートタイプ。ヒールは3センチ程度、トップはシンプル仕様というものでしたが、圧倒的に違うのはその素材。完全に透明なシリコンゴムだったのです。十数年、真夏のカジュアルシューズとしてデビューしたパンプスは覚えていますが、この透明ゴム長がいつデビューしたのか判りません。僕にとっては初めての出会いでした。
 最初は目を疑いました。「このゴム長の柄ってダブって見えるんだけど、目の調子がおかしいのかな」。良く見ると柄だと思っていたのはソックスの柄で、靴自体は透明だったのです。彼女はモスグリーンとベージュが混ざったような地にえんじ色のストライプが入ったソックスを履いていました。それが透明の素材を通して見えていたのです。
 なるほど。これならソックスを変えれば毎回違った印象で楽しめます。雨粒が付いた透明素材がキラキラと光り、その向こうにお気に入りの色や柄が……。ローコストで雨を楽しむアイデアとしてはかなりレベルが高いぞなどと感心してしまいました。
 さすが若い女性。ファッション・バリエーションを広げてくれるアイテムには敏感だなあとすっかりオヤジ目線で見つめながらも、僕自身も楽しくなってしまいました。


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