【ビールとつまみ】
毎週金曜日の夜、東京駅の新幹線ホームに行くと独特のスタイルの男性たちに出会えます。 ……ネクタイをゆるめたスーツ姿。大きなバッグ。ビールとつまみと駅弁が入ったビニール袋。週刊誌。……
東京に単身赴任して週末には新幹線で我が家に帰宅する彼らは企業戦士でもあり、佳き家庭人でもある人たちです。
しかし、14年後。彼らの姿を見かけることも少なくなりそう。
品川でリニアモーターカーに乗れば40分後には名古屋に到着する時代が来ようとしています。その数年後、延伸すれば約１時間で大阪に到着するとか。
時速500キロで地上を走った時の速さと言われても想像もできませんが、少なくとも列車の中でグビッとビール、しゅうまいをパクリという晩酌スタイルは時間的に難しくなるのは容易に想像出来ます。ビールを飲んで一寝入りという芸当も難しいでしょう。
なにしろ速すぎます、リニアモーターカーは。
たとえば山手線を一周すると約60分。品川から京浜東北線で大宮まで行くのに42分。山手線と総武線経由で千葉まで行くと54分。山手線と中央線快速を利用して吉祥寺まで行くと39分。
つまりリニアモーターカーが運行されるようになると首都圏の通勤時間とほぼ同じくらいの時間で名古屋に到着するようになるわけです。
そんなスピードで走る列車に乗ってのんびりビールなんて飲んでいられません。もし定期代さえ捻出できれば単身赴任する必要もありません。毎朝、家族とともに暮らす自宅から東京まで通勤する、なんて荒業だって容易にクリア出来ます。
列車内の晩酌タイムを楽しみにしていた“おとうさん”にとってリニアモーターカーが通勤手段になる日も近そうです。
ウーム。時間距離の概念が変わる日も近いようです。
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