∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

発想の転換

【交通網の再整備】


 19年前、国道43号線の上を走る阪神高速神戸線の支柱が折れ、高速道路が横倒しになりました。その事実を重く受け止めた道路関係者はかなり早くから高速道路の再整備に乗り出しました。それが今も東京でも続いている首都高速の「耐震化工事」です。
 そしてもうひとつ。当時、大阪方面から神戸方面に向かう自動車が多すぎて、国道2号線はいつも大渋滞していました。そんな渋滞の中、救援に急ぐ自衛隊のトラックが植栽が植わっている中央分離帯に半ば乗り上げ、車を斜めにしながら走って行くところと何度も遭遇。三宮に向かうバスの中で「大変なところに来てしまった」と思ったこともありました。
 使えない高速道路と動かない幹線道路。いつもなら高速で数十分、2号線でも1時間程度なのに、いつまでたっても神戸に辿りつけない。こんな状況では必要な人員も物資もスムースに届きません。


 そして地震の後、あまり時を置かずに発想が変わりました。
 救援の大動脈である高速道路を守ることと、主要幹線道路を救援車両に限定すること。このふたつの指針を大きな柱として道路に対しての考え方が変わったわけです。
 深夜になると始まる高速道路の工事や、「災害時一般車両通行禁止」の標識がそれ。ちなみに、東京の場合は環状7号線の内側は「流入制限」になります。


 高速道路は頑丈に出来ているとか、道路は誰もが利用できるものというような発想を転換して二度とあのような状態に陥らないようにして、「より多くの命を救う」ことに集中する。既存のインフラのなかでこれほど大きく軌道修正したものは他にないと確信しています。
 あとはそんな制限を利用者がいかに受け止めるかにかかっていると言ってもいいはずです。


[1175]