∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

先生、麻酔忘れてます

【僕、怖がりなんです】

 今日は歯医者の日。仕事が進まなくてさすがに困り始めていますが、一旦「行くぞ」と決めたこと。治るまではと時間をやりくりして通っています。と書くと立派ですが、仮の詰め物をしたままでは食べたいものも食べられないという切実な思いが僕を通わせています。

 で、歯医者の診察台で。先日の話では左上の奥歯に出来た虫歯を削り取ろうというものでした。その時は麻酔をして痛くないようにしましょうという話だったのに、どういうわけか先生、そのまま削り始めました。大きな口を開けたまま「こりゃ、えらいことになったな」と一瞬焦った僕は、治療のちょっとした隙を狙って「なにしろ怖がりなもんで、お願いしますね」と。先生、僕が痛みに弱いということを忘れていたようなんです。
 このひと言が効いたのか、削り始めていたのをストップして麻酔の開始。緊張で硬直し始めていた僕の身体はその感触を実感した途端に緊張が溶けていきました。まさにホッとひと息です。
 そんなせめぎ合いのなか、先生が「昨日見えた男性はすごかったなあ。筋肉隆々でスポーツ万能タイプ。聞くとハングライダーもやっているって言うんだよ」なんてことを話しかけてきました。どうもその方も痛みに弱いタイプらしく、ドリルを入れただけで筋肉が盛り上がり、ウウウッという声にならない声を発していたとか。簡単に言うと治療に掛かれないほどの「怖がりさん」だったようです。

 この方の心情、判るような気がします。口の中という特別なところで発生する痛みって痛さよりも恐怖のほうが先に立つんです。見えない恐怖とでも言えばいいのか。身体の中で起こっている異常に対する不安というか。たとえば腕に同じような痛みがあってもここまで恐怖を感じることはありません。見えないから怖いんです。
 そんな話の後、約1時間。ようやく「さあ、終わりましょう」とのひと言が。とにかくホッとして一気に緊張が解けました。……次は土曜日。何を隠そう、僕は誰から見てもいいオッサンですが「僕、怖くなんかないもん」と心の中で叫びながら行くことになると今から想像しています。

[1712]