∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

≡≡節分の日と福豆≡≡

福豆二題

 午後早い時間、国立博物館に向かっている途中でした。信号待ちをしているとお囃子の音色が聞こえてきたんです。気になって聞き耳を立てていると、いつもは凛とした静けさを保っている大黒天さまで行われていた節分会の催しだと判り、さっそく博物館は後回しにしてお参りに。

 いつもどおり、靴を脱ぎ、本堂の中へ入り、黒檀製の大黒天さまに手を合わせた後、今日だけ扱っている福豆を分けていただくことに。
 と、ここまでは慣れ親しんだ流れでしたが、今日はちょっと違ったんです。ご住職の奥様いわく「今年は美味しいお豆さんが手に入ったのよ」。丁寧な方だとは知っていましたが、顔見知りとはいえ、ここまでフランクな方だとは知りませんでした。なんだか八百屋のおかみさんと話をしているようでしたが、これもおおらかな大黒天さまの教えなのかもしれません。

 手に入れた福豆を持ち帰り、家でポリポリ食べながら子供の時のことを思い出してしまいました。豆まきが終わった後、家族で福豆を食べていた時、今の僕と同じくらいの年齢だったはずの祖母に向かって僕は「おばあちゃんも年の数よりひとつ多めに食べるの?」と聞いたのです。
 祖母も母も大笑い。僕が「そうやね、多すぎるよね」と言ったところもう一度二人で大笑いしていました。

 当時の祖母と同年代になった僕も大黒天さまでいただいた福豆を年の数よりひとつ多く食べることなんて出来ませんでした。たっぷりいただいた福豆とはいえ、しきたり通りに食べていたら夕食どころではなくなりますからね。
 20数粒食べたところで「このくらいで止めておけば逆に若返るかも」と勝手に解釈して終了です。

 節分の日と福豆。大黒天さまがほっこりとした時間を与えてくださり、子供の頃の幸せな時を思い出させてくれたのかもしれません。

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