どこかでバタッと倒れていたら
それも本望
夜になって小池都知事が過労のため入院というニュースが飛び込んできた。コロナ禍真っ只中の6月下旬に緊急入院して以来2度目の入院である。
記者会見中に急に声が小さくなったり、痰が絡んでいるような咳き込み方をしているところを見ると、素人目には、6月下旬と同じ症状のように見える。
どんな超人でも蓄積され続けた疲労はどこかで一気に吹き出してしまうものだが、氏の場合は、コロナ禍とオリンピックという2つの課題を、つつがなくやり通すために、想像を絶するような精神力と体力を使っていたのではないだろうか。
特にコロナ禍対応に関しては、庁内からの反発を押し返しつつ政策を実行したにも関わらず、都民からも強い批判を受けることになったことも多かったはずだ。
コロナ禍が先の見えない泥沼に入り込んだ頃から氏の政治感や人生観は「政治家としての野心よりも、突きつけられた重要課題の克服にすべての力を尽くす」という姿勢に変わったのではないかと想像している。
そんな政治感の変化が復帰直後の会見で「どこかでバタッと倒れていたら、それも本望」という言葉を生んだのかもしれない。
ちなみにその変化は、発言の中からお得意だった外国語が消えた頃と一致している。考えすぎかもしれないが、その語法は「知識を開陳したり、聞く人を煙に巻くことよりも、できるだけ多くの人を説得することに力点を移した結果」と推察することも出来る。
ともあれ、重大な症状ではないことを願いながら、予定以上の期間になってもいいから、充分に休憩をとってもらおう。コロナ禍がひと段落している今なら落ち着いてリフレッシュできるはずだ。
余談だが、政治家の都知事の代わりを行政畑出身の副知事が務めると、どうにもこうにも迫力と説得力がない。しばらくの間、あの方の記者会見を聞くことになるのかと思うと気が滅入ってしまうのだが……。
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『霜降』‥秋の最終章。澄み切った冷気に包まれ霜が降る。山粧う時
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