∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

≡≡ なんだか、おかしいぞ ≡≡

美化から神格化へ。
絶好の言い訳。
右へ倣え。

・国民からの声が強く、その功績を讃えるためにこの秋、安倍元総理の国葬儀を執り行う。
・料金高騰と電力需給ひっ迫が予想されるため停止中の最大9基の原子力発電所と10基の火力発電所を再稼働させる。
・感染は拡大し続けているが、新たな行動制限は行わず、最大限の警戒を続けながら社会経済活動の回復に努める。

 安倍元総理の葬儀が執り行われたあと、岸田総理から立て続けに出された発表を聞いていると、総理が「ここぞとばかりに言いたいことを言ってしまおう」と考えているような気がしてならない。

〈どうして国葬儀なのか〉
 国民の声や功績と言うことだが、本当にそうだろうか。
 混乱の極地にあった東日本大震災の復興対策を軌道に乗せた政治力は見事だと感服する。国家的な経済復興が叶わなかったアベノミクスもある一定の効果があったと理解する。だが一方で、社会の分断を煽るような言動や不誠実で好戦的な国会答弁、忖度されることを見越した権力行使など、その言動には好感が持てないものも多かった。
 つまり“功”と“罪”を秤に掛けた時に圧倒的に功が際立っているかというとそうでもないわけだ。
 ひょっとすると、党の重鎮からの圧力や派閥の論理、あるいは弔問外交などのポリティカルバランスを優先させた結果、決定されたのだろうか。
 いずれにしても、説得力に難あり。切れ味が悪すぎる。

〈再稼働は織り込み済みだったのではないか〉
 電気事業連合会は「現状のままではこの冬は夏以上に電力需給がひっ迫する。そのため原発と火力発電所の再稼働はすでに織り込み済み」と語っている。どこにも「緊急」とか「一時的」という言葉はない。「再生可能エネルギーへの転換を目指しながらも」という言葉もない。
 とすると、総理の発言は電気事業連合会の方針を後押しするためのものとも受け取れる。ひいては、電力ひっ迫を言い訳にして、どさくさ紛れに、恒久的な原発復活を誘導しているのではとも受け取れる。
 再生可能エネルギーへの転換についてのビジョンが盛り込まれない場当たり的な方針は総理の視線を表しているのだろうか。

〈欧米型の対策にシフトするための序章なのか〉
 拡大し続けている新型コロナに対して総理は「最大限の警戒」という注釈付きながら「現時点では新たな行動制限は行わない」という方針を示した。最大限の警戒がどういうものなのか、現時点と言いつつどこで線引するのかは示されなかった意味はどこにあるのだろう。
 ワクチン接種の強化や全国旅行支援の延期などは示されたが、それ以外は高齢者との接触に注意することや、検査の拡充、効果的な換気など従来どおり。約3年間積み上げてきた経験則はこの程度のものなのだろうか。
 それとも「いずれ第二のインフルエンザになる」として、感染者が増えても社会活動と経済回復を重視する方向に舵を切ったほうが得策と判断した欧米各国に倣おうとしているのだろうか。それならそれで、国として明言するべき時に来ているのではないだろうか。

 安倍元総理が亡くなってから、岸田総理の政権運営の「安全第一志向」が強まったような気がする。今こそ明快な指針が求められていると思うのだが。
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[season12/0716/25:30]
小暑』‥あっという間にやってきた夏本番。暑中見舞い。七夕
photograph:SKY at nippori, arakawa & taito city
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