∞∞この続きはコーヒーと一緒に∞∞

その日その時、感じたことを感じたままに。まるで誰かと語り合うコーヒーブレイクのように。

≡≡ 寄り添うってなんだ ≡≡

助けを求める人と向き合って
助けを求める人の真意を汲み取る

 阪神淡路、東日本、熊本、山形。未曾有の大災害が起こるたびに災害対策は進化を遂げてきた。考え方自体も「大災害は必ず起こる」が基本になった。
 そんな変化のなかで救援・支援のあり方にも意識改革が起こり、「慈悲の心でお助けする」から「手を差し伸べて当たり前、困ったときはお互いさま」へと変化してきた。神戸、東日本と10数年の間に未曾有の大災害を2回も経験してからは、特にその意識改革が顕著になった。
 未だ復興半ばの東日本大震災で甚大な被害を被った地域ではそんな“変化した支援のあり方”が実践され、阪神淡路大震災のときのように大災害を「儲け時」とか「災害ビジネス」としか考えない輩は激減しているようだ。

 そんな変化の中で“人に寄り添う”という人間の根源に迫る考え方も変化してきた。「お節介やき」でもなく「助けてやる」でもなく、「困ったときはお互いさま」はもとより、「見つめ続ける」や「聞き続ける」、あるいは「目立つことのない地道な行動」への変化である。
 つまり、昔から言われてきた「恩着せがましいお助けは偽善である」という反面教師的な思想を大災害を通して多くの人が思い出したわけだ。

 私は支援のあり方そのものが、支援される側に引け目や煩わしさを感じさせることなく、相手の立場や生き方を理解しつつ、自然体であることに変わったと感じている。また、自分の価値基準に合わない行動を揶揄したり攻撃したりすることがいかに低劣な行為であるかも認識されてきたようにも感じている。

 人に寄り添うためには、人の真意をその人の立場を想像しながら静かに汲み取ること。

 我々は、支援の姿勢に自らの優越性や利益を差し挟まないことの大切さを改めて知ったのではないだろうか。
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[season13┃12 Mar. 2023┃11:30 JST
┃HANA-CHOUZU(Floating flower)┃
Ueno toshogu, Botan-en Photographed on 28 Jan. 2022